斉藤 正浩
機械システム工学科エネルギーシステム工学講座第三研究室・助手
工学博士 |
専門分野 |
燃焼工学,微粒化工学 |
今までに行ってきた
研究分野 |
(1) 石炭スラリー燃料の単一液滴燃焼に関する研究
(2) 微粉炭燃焼に関する研究
(3) 高温・高酸素濃度場における微粉炭燃焼
(4) 静電微粒化に関する研究
(5) 音響励起燃焼に関する研究 |
現在の研究テーマ |
(1) 噴霧−噴霧系衝突に関する研究
(2) 電界印加によるすす抑制の研究 |
主要研究成果 |
- 高温・高酸素濃度場における微粉炭の燃焼反応速度炉内温度が1800℃まで実現可能な超高温炉を用いて,高温高酸素濃度場での微粉炭の燃焼反応速度を調べた.その結果,高温高酸素濃度場での燃焼は10ms以下という非常に短い時間で着火が起こり,揮発分およびチャーの燃焼を含めた燃焼完結時間は50ms以内で極めて短いことがわかった.
- 高速二色温度計による微粉炭の粒子温度測定 粒径100μm以下の燃焼微粉炭の粒子温度を瞬時に測定可能な高速二色温度計を開発した.これにより,従来は燃焼反応速度を評価する場合に炉内温度あるいは炉壁温度との相関が一般的であったが,粒子温度で相関をとることにより微粉炭燃焼の機構をより明確に表現できることを提案した.
- 静電気印加による粘性液体の均一微粒化 数μm〜数mmの広い粒径範囲において粒径制御が容易で,かつ他の微粒化法に比べて均一性の良い液滴が生成可能な静電微粒化法を利用して,液−液系における高粘性液体の微粒化を行った.印加電圧を増加するにつれて生成される液滴径は指数関数的に小さくなる.低粘性液体の場合,ノズル先端に形成されるメニスカス先端から均一液滴が規則的に生成される.一方,高粘性液体の場合にはメニスカス先端が引き伸ばされて液糸を形成し,その液糸が分裂して液滴が生成される.
- 音響励起による単一燃料液滴の蒸発および燃焼特性 定常波を用いて音響励起による単一燃料液滴の蒸発および燃焼を行い,定常波の腹の位置では周波数 100Hz以下,音圧レベル90dB以上の範囲において,燃料液滴の蒸発速度係数は音波無印加の場合に比較して約3倍,燃焼速度係 数は約2倍になるという結果が得られた.
- 噴霧-噴霧系衝突における挙動, ガソリン機関用のEFIノズルを使用して噴霧の相互衝突を行い,衝突後の噴 霧の平均粒径に及ぼす衝突位置や衝突角度の影響を調べた.その結果,噴流-噴流衝突および噴霧-噴霧衝突いずれもの場合も,衝突後の平均粒径は自由噴霧に比較して減小し,噴霧の相互衝突による液滴の再分裂が示唆された.
- 電界印加による炭化水素拡散火炎のすす抑制 炭化水素燃料の拡散火炎に電界を印加することにより,その燃焼挙動およびすす抑制に及ぼす印加電圧,電極間距離および極性等の影響を調べた.その結果,印加電圧の上昇に伴ってすすの排出量が著しく抑制され,正電圧の方が負電圧よりもすす抑制効果が高いことがわかった.正電圧を印加した場合,電界強度150
kV/m以上において90%以上のすす抑制率が達成された.現在,電界印加によるすす抑制のメカニズムを解明するための研究を進めている.
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